第二十一回
「右キキと左キキ」

舞踊家 I

 

 

電車 踏切を渡る時、先ず立ち止まって、右を見てそして左を見てから渡るのはどうしてだろうと園児に質問すると、一人の児が「一度に両方見れないからだよ」と答えたそうだ。

  実に面白い話なので、近所の子供達にも聞いて見た。
「電車が着たら危ないから」の答えを待っているのだが、「ボクは左を見てから右を見るよ、だってボク左キキだもの」。

 えっ!そんな事ってあるの?

 でもそう言えば私は右キキ、稽古はいつも右手から始めている。踊りを作る時も右方向の振りが多い。左側をおろそかにしている積もりはないがどうも比重が少ない。なんだか左の空間に申し訳ないと思ってしまう。

それ以来、右に動いた振りの流れを、反対の左からも動いて見ている。感覚の反応が、刺激的で不思議に楽しい。今度は左方向を意識した踊りを創って見たいと考えている。

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