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舞踊公演を見ての帰り道、ある女性を追い越す。お急ぎですか?背後からの声に振り向くと顔見知りのご婦人。舞台鑑賞の好きな方でいろんな会場でお会いしている。
いつもは、親友と言う友人と一緒なのに今夜は一人。同伴の方は?と尋ねると、彼女はこのホール嫌いなのです。
樹木を周囲に配して、公園まがいの敷地に凛々しく建つ現代建築の美しさ。天井が高く贅沢なロビーの空間。申し分ないと私は思うのだが…。
あの人の嫌うのは会場の建物ではないんです。立地条件に問題があるのです。たった今見終わったばかりの舞台を、帰り道、見た者同志で話し合える場所が欲しい。
彼女は舞台について情熱的な自論を持っていて、舞台の余韻が消えないうちに、あそこが良かったとか、あの部分に感動したとか、そんなお喋りを、観劇の醍醐味に決めているのです。ただ舞台を観ただけで、ハイさようならと別れるのは鑑賞の意味がない。会場が立派だからと言っても彼女にはそれは通用しないのです。どこかへみんなで立ち寄りたい…。
会場からの帰り道、本当にこの道は暗く淋しい。昼あいていた喫茶店もこの時刻は灯を消して知らぬ顔。欠席した彼女の、このホール嫌いだ!の無念さが解るような気がする。
ご婦人の話を聞いていると。
@会場
A帰途お喋りで立ち寄られる店
この@+Aの関係が、観客を魅き寄せる一つの条件にもなっているようだ。

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