|
去る6月7日(木)第22回「舞踊ゼミナール」が、本年より会場を「日本橋劇場」に移して「千夜一夜物語」をテーマに開催された。
初めに総合司会の北井一郎氏より、全舞連という組織と「舞踊ゼミナール」について、その主旨、歴史、足跡等が紹介された。
第一部では猿若清三郎氏の司会による「座談会」で、4人の振付者が各々の景の舞踊創りについて語ったが、共通していたのは各々が担当する“バレエ”“現代舞踊”“児童舞踊”“日舞”の特徴を生かしながら、その景のテーマを明確に打ち出していくことに主眼をおいた、という事であった。
第一話は、菅生みどり氏振付、松崎すみ子氏協力によるバレエ「王様とシェヘラザード」で、印象的な幕開きのポーズと白い布使いが見事にアラビアを現出。愛する王妃に裏切られ、女性を信じられなくなった王が、毎晩一人づつ娘を殺すようになった経過が、衣裳・照明共にブルーを基調とした舞台で、リアルにかつエキゾチックな美しさをもって描かれ、ラストのシェヘラザードが王の荒ぶる心を静め、“物語”を始めるところで次の景へバトンタッチした。
第二話は、伊藤拓次氏振付による現代舞踊「アリ・ババと四十人の盗賊の話」で、もし現代のどこかにアリ・ババが開けたような扉があったら、そしてそこに2人のコソ泥(?)風の男が入っていったとしたら…という設定で踊られた。この景は2人の男が、がんじがらめになって身動き出来なくなるラストまでの“振り”の展開が素晴らしく、伊藤・坂木両氏のシャープで軽く大胆かつ繊細なダンスが見事!伊藤氏が座談会で“このゼミナールをお引受けして、改めて自分が現代舞踊というジャンルに居るということを再認識した”という発言通り、観客は“素敵な現代舞踊”を満喫した。
第三話は、佐々木秀子氏振付による児童舞踊「アラディンと魔法のランプの話」で、これはとてもユニークな作品創り。物語を読んでいた子供達が、“いま魔法のランプがあるとしたらどこだろう…土の中かな?”と土を掘っていたら、魔法のランプと共にお芋達が沢山出て来た。次に小さな子がランプにおまじないをするとお芋達がコロコロ踊り出した。
そして大きなお芋がポンと割れると中から花の精が登場!お芋畑は忽ち花で一杯。もう一度ランプにおまじないをすると忽ち夜になり、お芋も花達もコロンと皆眠ってしまい、“今までの事はランプが見せてくれた夢だったのかな?”という“落ち”でオシマイ。多勢の子供達の活躍が児童舞踊の楽しさを発揮した。
第四話は、若柳雅彦氏振付による日本舞踊「船乗りシンドバットの話」で、シンドバット役の若柳氏がグレーの衣裳で登場。次にコロス的役割を担った6人の女性が黒紋付に銀の帯と扇子で登場。この抑えた色彩の調和が実に美しく、6人の女性の銀扇が見事に波を表し、ゆれる船とゆられるシンドバットが緊張感漂う巧みな舞踊で表現された。そして船は難破、シンドバットは島へ漂着。沢山のダイヤを見つけたが、さてどうやって持って帰るか?そこへ泉氏の大わしが“久しぶりの御馳走”とシンドバットに襲いかかるが、シンドバットは大わしをなだめ、ダイヤを大わしの首にまきつけて無事帰る、というこの場面では6人の女性が“わしの軍団”で登場。この景は大らかな暖かい雰囲気が舞台に漂い、円熟の踊りと絶妙の掛合いを観客は堪能した。
そして最後はゼミナール恒例の「スクランブル」で各景の出演者が同時に踊り、回を重ねて一層の充実を見せた「舞踊ゼミナール」は盛り上がりの内に幕を閉じた。
|