音楽の流れと月の落とす影
私には胡弓を演奏する友人がおり、世の中が今のように胡弓だ、二胡だと騒ぐ前より親しみがありました。とはいえ、友人のCDを聞いたりするぐらいでしたが。
その友人はなぜか私の創るダンス作品を評価してくれ、いつかは生演奏の胡弓の曲で踊ってほしいとまで言ってくれていましたので、ぼんやりとそんな作品を思い描いたりもしていました。
その話が実現する前に、今回の全舞連で作品発表が決まりましたので、私は胸をはずませ。友人は嫉妬心?を抱く、、、ということになりました。(実は私の友人はジャンさんの後輩に当たるようで、会の当日、彼女に代講を頼まれ、本番の舞台さえ観に来ることが出来ませんでした。これは残念なことでした。)
選曲が一番の難しい作業だったかもしれません。先生方との集まりの席で、次々と曲を聞かせてもらい、その場で選曲!?
今思い出すと、いきおいが手伝って曲を選んだような感じでしたが、作品創りというのは、そういうインスピレーションのようなものが多く手伝ってくれるものではあります。
幸いにも、私をよく理解してくれる二人のダンサーが出演してくれましたので、作業にはいってからは一度や二度のつまずきを味わうくらいで作品は仕上がりました。
全舞連という集団はユニークであると、今回も改めて思いました。少なくとも、日本でしかありえないダンス競演です。日舞とバレエを比べても、その表現の違いは大きいものと思いますので、同じテーマをもって作品を創っても想像できない違いが生まれます。単純な考えですが、観に来てくださる方には当然喜んでいただけるプログラムになります。作品を創るうえで忘れてはならない観客の方々が、喜んでくださる要素がすでにあるようなもの、私は自分に与えられた10分という時間に没頭できる、至福の作業でした。
私は昨年一年間、文化庁在外研究員としてパリで1年生活をしてきました。それは想像以上に長い時間であり、それはそれは物事を考える時間がたくさんありました。しかし仕事はできません、研修員ですので。夢に見たパリでの生活でしたが、いま思い出すと多少の孤独を感じ、いつも帰国してからの作品について思いを続ける日々でした。
私は同じ研修員であった矢作さんの作品から、私がパリで感じていたようなものを見ました。私の作品がみなさんにどう伝わったのかはすべてはわかりません。しかし、みなさんのもつ“月”のイメージ、そして胡弓の音色に少しでも助けられ、それがなにかの形で少しでも心に残ったことを願います。
最後になりますが、帰国後このような良い形で作品が発表でき、多くの方にみていただけた喜びと、そしてこのようなチャンスをいただけたことに感謝いたします。
また、機会がありましたらぜひ参加したいと思います。ありがとうございました。
松崎 えり
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